恋の宝石ずっと輝かせて2
5
山の奥深く、夏の暑さが嘘のように、ひんやりとした暗い洞窟に、巫女が一人足を踏み入れた。
限られたものだけが入ることのできる空間。
その巫女はまさにそういう権限を与えられていた。
そこは山を司る神が居るべき場所。
人も動物も祟りを恐れ滅多にやってこない。
神秘に満ちた神聖な世界。
だが、巫女は不穏を感じとる。何かがおかしい。
「ニシナ様? ニシナ様はいらっしゃいますか?」
甲高い声が静かな洞窟でこだまする。
「ニシナ様!」
巫女が叫んでも誰も応えない。
洞窟の奥にたどり着いたとき、そこで見たものに巫女は目を見張った。
「一体何があったというの?」
神聖な場所だというのに、ごつごつの岩が土砂崩れを起こしたように散らかっている。
それは明らかに誰かの手によって荒らされていた。
祀ってあった祠は岩をぶつけられてぐしゃりと押し潰されていた。
その後ろから呻き声が微かに聞こえる。
「そこに誰かいるの? ニシナ様なの?」
ごつごつとした岩の上を軽々と飛び越えて、巫女は祠の後方を覗く。
「あっ、セキ爺じゃないの」
そこには体中傷だらけの体の大きな猪が横たわっていた。
弱々しい声をしぼりだすようにその猪は巫女の名前を呼んだ。
山の奥深く、夏の暑さが嘘のように、ひんやりとした暗い洞窟に、巫女が一人足を踏み入れた。
限られたものだけが入ることのできる空間。
その巫女はまさにそういう権限を与えられていた。
そこは山を司る神が居るべき場所。
人も動物も祟りを恐れ滅多にやってこない。
神秘に満ちた神聖な世界。
だが、巫女は不穏を感じとる。何かがおかしい。
「ニシナ様? ニシナ様はいらっしゃいますか?」
甲高い声が静かな洞窟でこだまする。
「ニシナ様!」
巫女が叫んでも誰も応えない。
洞窟の奥にたどり着いたとき、そこで見たものに巫女は目を見張った。
「一体何があったというの?」
神聖な場所だというのに、ごつごつの岩が土砂崩れを起こしたように散らかっている。
それは明らかに誰かの手によって荒らされていた。
祀ってあった祠は岩をぶつけられてぐしゃりと押し潰されていた。
その後ろから呻き声が微かに聞こえる。
「そこに誰かいるの? ニシナ様なの?」
ごつごつとした岩の上を軽々と飛び越えて、巫女は祠の後方を覗く。
「あっ、セキ爺じゃないの」
そこには体中傷だらけの体の大きな猪が横たわっていた。
弱々しい声をしぼりだすようにその猪は巫女の名前を呼んだ。