恋の宝石ずっと輝かせて2
「キイト、このことは他のものには暫く黙っていてくれ」

「だけど、ニシナ様がいなければ暴れるものが出てくるし、この山の水も食料もバランスを崩してしまう」

 セキ爺が意外と重く、キイトは運ぶのに苦労しながら、顔を歪まして答えていた。

「まだそこまで心配することはない。山の神が入れ替わるときもそうじゃが、山神が不在でもその力は暫く持続する。万が一のときは次の神を探せばいいことじゃ」

「探すって、一体誰が次の神になるというの。あれは赤石を操れる力を持つものでないと。それに赤石は今一体どこにあるというの」

 キイトの目がきつくなっている。腹立たしくてイライラしている様子だ。

「まずは赤石を見つけなければならん。ニシナ様がどこに隠したかキイトは心当たりないか?」

 セキ爺はちらっとキイトに視線を向けた。

「この山の秘密とでも言うべきことをなんで私が知ってると思うのよ。知ってたら今頃こんなに心乱れてないわ」

「そうじゃのう。全てはわしの責任じゃ。ニシナ様がわしに赤石のことを仄めかしたばかりに、それを側で聞いていた曲者がニシナ様を連れ去っていきおったのかもしれん。もしその赤石を奪おうと企んでいるのなら脅威だ。あれはよそ者には幻術の石とされ、とてつもない力を与えると思われておる。あれを手にすれば欲望を全て叶えるものだと信じておるのじゃろう」

 セキ爺はため息をついていた。

「赤石には実際そんな力があるものなの? 私はこの山を守るために必要なものだって教えられたけど」

「もし誰かが力のことを知れば奪い合いということにもならないように、我々にはただのお守りと思わされている。それでこの山の秩序が保たれているのだろう。実際、赤石は山神以外は手に負えないものだと聞かされておるからのう」

「この山のものじゃないとすれば、よそ者が来たの?」

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