学校一クールなキミのお世話係になりました
「この右手は、俺のものだろ、だから」


言いながら、彼は目を閉じてしまう。


北原くんのまつ毛長いなぁ、綺麗。


ああ、どうしょう、こんなことならもっとハンドクリームを塗ってすべすべにしてくるんだった。


って、違う違う。ここは、ふざけないでって怒るべきだよね。


それでもって、彼に捕まえられている手を今すぐにでも引っ込めないといけないのに。


それなのに、もう少しこのまま彼に触れていたいって、ぼんやり思ってしまった。


「どうしてきたんだよ」


質問するというよりも独り言のように彼は呟いた。

「誕生日だから、あの17歳おめでとう」


声がうわずっていたけど、なんとかお祝いの言葉が言えた。


「え、ああ、誕生日?そうだったな」


そんなことは、忘れていたのか、誕生日と聞いて彼は目を丸くする。

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