学校一クールなキミのお世話係になりました
少しの沈黙の後、私は左手で彼の背中を優しくポンとたたいた。


「もうっ。寂しさに、慣れてるなんて悲しいこと言わないで」


わざと、明るく言って笑いかけてみたら、彼が少しだけ表情を和らげてくれたからホッとした。


「こんな時は私に頼ってくれてもいいよ。だって、私の右手は北原くんのものなんでしょ?
寂しいときもそうでなくても、必要な時はいつでも私を呼んで」


「やっぱり、優しいんだな。アンコは。だから俺みたいな奴につけこまれちゃうんだな」


彼は自嘲気味に薄く笑うので、私は右手で彼の柔らかい頬をそっとつまんだ。


「違うもん私は。だって私は北原くんが」


ただの優しいお人好しだって思われてるのかもしれないって思うと、なんだかそこは否定したくなる。


私、誰にでも優しくしたいわけじゃない。そんなんじゃない。

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