学校一クールなキミのお世話係になりました
「え、あ、そうか。そうだよね」


「昔から両親に構われた記憶はないし。子供の頃、誕生日の朝に辞書や参考書を貰ったくらい。うちは共働きだから、そういうのが子供の頃から慣れっこだったけど」


誕生日にそのプレゼントって。それも特殊というか凄いけど。学者さんの息子ならではのエピソードなのかな。


それにしても、彼はそんな風に思うんだって、びっくりした。


確かに出産は大変だろうけど、彼のようなそんな発想は私にはない。


ただただ自分が周りの人からどれほど愛されているかを確認する日。


私には、そのくらいの甘い認識しかない。


だからこそ思った。


彼はやっぱり凄く優しい人なんじゃないかって。


普通の高校生なら誕生日には自分が楽しい日って思うだけ。


だけど、彼は自分を産んでくれた母親のことにまで思いをはせることができる人なんだ。

< 173 / 303 >

この作品をシェア

pagetop