学校一クールなキミのお世話係になりました
軽々と走るフォームがとても綺麗で、5月の日差しを浴びてキラキラしている。


そんな彼にしばらく目を奪われていた。


あ、大丈夫かな。手があたって痛くないかな。


彼を止めようとして向かってきた2人が強引にボールを奪おうとして接触したように見えてヒヤッとした。


「北原君・・・」


思わず彼の名をつぶやいて、右手をぎゅっと握っていた。


まるで、自分の右手が急に痛くなったかのような錯覚を覚える。


なにこれ、私どうしちゃったんだろ。


彼が少し顔をひきつらせたような気がしたから、胸がギュッと締め付けられた。


痛そう、多分手にあてられたんだ。


それからすぐにボールが奪われてしまい、少しほっとした。


もう、あまり彼にボールが渡ってほしくはないなと思った。

< 50 / 303 >

この作品をシェア

pagetop