学校一クールなキミのお世話係になりました
「いい、いらない」


「え、どうしてー?」


安藤さんはクラス一の美人で男子に甘えるのが天才的にうまい女子だ。


手先も器用だからネクタイだって私よりももっと上手にしてあげられるだろう。


「アンコにやってもらうから」そっけなく言って私のほうへ向き直る彼。


「き、北原君、安藤さんにやってもらいなよ、私、不器用だし」


安藤さんが凄い目で睨んでいるのが分かったので、焦って彼のお世話を譲ろうとした。


そう、ここ最近、私はクラスの女子達から急激に疎まれだしていて、それは全部、北原君のせい。


これまで、女子とは積極的に関わろうとはしていなかったクールな彼が、私にだけは親しく話しかけてくるようになったのが彼女達は気に入らないらしい。


< 54 / 303 >

この作品をシェア

pagetop