学校一クールなキミのお世話係になりました
「え、違うから育ちゃん」


育ちゃんが私を慰めるように声をかけてきたので、びっくりした。


チラッと北原君のほうを見ると、彼もこちらをぼんやりと見つめていたから余計に焦った。


「私、気にしてなんていないから」


もう一度、育ちゃんに小さな声で言ってから、だけど視線を落として自分の手元ばかりを見ていた。


気にしてなんてないもん。


さ、早く食事しなきゃ。


その後、たわいもない話題でみんなで盛り上がったりしたけれど、心はどこか上の空でぼんやりしていたんだ。




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