涙の裏側    ~もう一人の私~
「マスターは、一人暮らしですか?」

あまりにもキレイだから、奥さんがいるのかと思って聞いてみると。

「いたら咲ちゃんを連れて来ないでしょう。
何も無いって言っても、きっとヤキモチ妬くよ。
咲ちゃん、可愛いし。
キレイなのは、使ってないから。
それに、一人だとそんなに汚れないよ。」

「そんな事ないですよ!
一人の方が汚れます。
……………少なくとも、ウチは…………汚れてます。」

私の話しに声をたてて笑い

「咲ちゃんって、ホントに素直だよねぇ。
どうせ行く事なんてないんだから『私もキレイです。』って言っとけば
良かったのに。」

そっかぁ!

自ら暴露しないで良かったんだ。

「まぁ、咲ちゃんは仕事柄汚れるだろうね。
家に仕事を持って帰ることも多いんでしょ?」ってフォローしてくれる。

唯先生はいっぱい持って帰るみたいだけど

私は仕事中に全部終わるから、持って帰ることはあまり無いんだけどね。

汚れてるのは…………

寂しさのせいかな?

みんなに言ってないけど………つい、ぬいぐるみを買ってしまうんだ。

部屋には、無数のぬいぐるみがある。

汚いって言うより………

ごちゃごちゃしてるんだよね。
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