眼鏡フェチな私
「俺個人は、ですが」

またおかしそうに主任が笑う。
よく笑う人だと思う。
そういう所は……嫌いじゃ、ない。


かき氷を食べたあと、もう屋台も大体見たし、
っていうことで帰ることになった。

駅で別れて地下鉄に乗る。
どうにか確保した壁際に立って、さっきのことを思い起こしていた。

……私は眼鏡じゃないとときめかない。
そのはず、だ。



放生会が終わると福岡の街は一気に秋になる。

袖まくりだった主任は袖口のボタンを留めるようになり、そのうちジャケットがプラスされた。

袖口から覗く、無骨な腕時計を嵌めた手首にドキドキしないかって言われたら嘘になるけど。

……それ以上に。
主任のことが気になって仕方なくなってる私がいる。

……眼鏡じゃない。
眼鏡じゃないから。
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