眼鏡フェチな私
財布の中から一万円札を抜いて、叩き付けるようにテーブルの上に置いた。
そのまま、視線が集まる店内を逃げるように出る。
足早に駅に向かっていたはずの足は次第に遅くなり、代わりに自分の口からは嗚咽が漏れた。

……なんで私はあんなに怒ったんだろう。
なんで私はいま、泣いているんだろう。

……ああ、そうか。
私は眼鏡じゃない人でも好きになれるんだ。

「待って!」

「……」

「待ってって!」

「……」

「待てよ!」

変わった口調に、声に、足が竦んだ。
すかさず主任の手が私の手首を掴む。

「……離して、ください」

「……離すかよ」

振り解こうとしたけれど、主任は痛いくらいに私の手首を掴んだまま歩き出す。
少し歩いて人気のない場所まで来ると、強く手首を引かれた。
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