眼鏡フェチな私
その後も私は悲鳴を上げ続け、……中程で一歩も動けなくなった。

「……もうやだ。帰りたい」

「うんうん。早く出ようね」

「……もう歩けない」

「困ったなー」

そう言いつつも、主任の声はちっとも困っているようには聞こえない。
あたまぽんぽんされたかと思ったら、手を掴まれた。
そのまま、引き摺られるように歩く。
脅かし役の人たちは料金以上に脅かしてくるから、やっぱり出口までずっと悲鳴を上げていた。

「こわ、かっ、た……」

この歳になって、しかもこんなことで泣くなんてどうかしているとは思うけれど、涙がぽろぽろ出てくる。

「ごめんね。
そんなに怖かったんだ」

目の前が暗くなったと思ったら、主任が至近距離で立っていた。
抱き寄せるように私の後頭部にまわった左手が、あたまをぽんぽんする。

「泣くなんて思わなくて。
ほんと、ごめん」
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