恋と眼鏡
くすり、右手を口元に持っていき、祐典さまはおかしそうに小さく笑った。

「どうして加代は、こんなに小さいんでしょうね。
私の手の中にすっぽり収まってしまいそうです」

「……さあ」

楽しそうにくすくすと笑いながら軟膏を塗り続ける祐典さまに、心の中でむっとした。

まわりの人間に比べ小柄な私。
反対に少し背の高い祐典さま。

並ぶとまるで、子供と大人。

わかってはいるけれど最近、祐典さまに小さいとからかわれると腹が立つ。

「はい、おしまいです」

「……ありがとう、ございました」

最後にするりと撫でて、手が離れた。

毎晩のように祐典さまがこうやって軟膏を塗ってくれるからか、ほかの女中に比べて私はあまり手荒れしない。
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