恋と眼鏡
しみる軟膏に悲鳴を上げそうで慌てて唇を噛むと、祐典さまが眼鏡の下の眉根を寄せた。

「どれだけ酷い扱いを受けていたのですか」

ゆっくり、ゆっくりと祐典さまの手が私の手に軟膏を塗り込んでいく。
痛くて痛くて悲鳴は出そうだったが、少しでも私を痛がらせないように慎重に祐典さまが手を動かしている気がしたので、我慢した。

「ずいぶんよくなったとはいえ、こんなになるほど殴るなど」

祐典さまの手が私の顔にかかる包帯にふれる。
瞼が開かないほど殴られた左目は、しばらく治療は必要だが、医者に診せてもらえたおかげで失明は免れた。

「しかもあんな寒い日に、あんなに薄着で放り出すなんて」

薄着、祐典さまはそう言うが、前の屋敷ではあれが普通だったのだ。

いつも薄い木綿の着物一枚で、寒さに震えながら仕事をこなす。

「よく頑張りましたね。
もう心配することはありません」
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