恋と眼鏡
扉の隙間から入ってくる煙。
悩んだものの思い切って扉を開けると、……そこは火の海だった。

「なに、これ……。
ひぃっ」

――ガシャン。

近くで窓ガラスの割れる音にして、あたまを抱えてしゃがみ込む。
どうも私は逃げ遅れたみたいで、周囲に人の気配はない。

……逃げなきゃ。

わかっているんだけれど足が動かない。

――ガシャン。

再びガラスが割れ、怖くて膝を抱えて小さく丸くなった。

……きっと、罰が当たったんだ。
祐典さまの結婚が、中止になればいいとか願ったから。

このまま、死ぬのかな。

でも、死んでしまったら祐典さまが奥方さまの隣で笑っているのを見なくてすむ。
< 21 / 30 >

この作品をシェア

pagetop