俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
怒らせるどころか、逆に気を使わせてしまった。
なんだか良心がいたむから、今日は彼の好きなものを作ってあげよう、なんて心の中で思っている間に、和樹さんは朝食を食べ終え席を立つ。
素早く支度を終えた彼を、玄関まで見送りに出た。
「行ってくる」
靴を履いた和樹さんが私を振り返る。
「はい。お仕事がんばってくださいね」
そう言って見送ろうとすると、彼が私に向かって緩く腕を開く。
その意図を察して、頬を赤くしながら和樹さんの顔を見上げると、いつも仏頂面の彼の表情がわずかにほころぶのがわかった。
意を決して、自分から和樹さんの方へ近づく。
一歩、二歩。おずおずと進み距離が詰まると、和樹さんは私の体をさらうように抱きしめた。
契約結婚とはいえ、少しくらいのスキンシップは必要だろうという彼の提案で、寝る前や仕事に出かける前に、軽いハグをすることになった私たち。
ハグなんて海外ではただの挨拶だし、なんの問題もない。そう思って了承した私だけど、予想と現実はまったく違った。