俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
『もー、ほんと姉ちゃんはお人好しでのんきなんだから! このままあいつと愛のない契約結婚を続ける気かよ』
「いや、一応嫌われる努力はしてるんだよ?」
『どんな?』
「朝目覚ましが鳴るちょっと前に大きな音を出して起こしたり、料理を失敗したり、嫌いな物を食卓に出したり……」
『そんなのぜんぜん甘いよ。もっと本気出さなきゃ』
「本気って言われても」
私だって頑張っているつもりだけど、意外と和樹さんが優しくて何をしても怒らないんだから仕方ない。
そう言うと、隼人はため息をついた。
『もっと相手が本気で嫌がることをしないと意味ないだろ。勝手に高価なものを買いまくって散財するとか、あいつの大切なものを壊すとか』
「そんなことしたら、和樹さんを困らせるじゃない」
『困らせて嫌われるのが目的なんだから、当たり前だろ』
「確かに……」
『離婚はできるだけ早い方がいいよ。お人好しな姉ちゃんのことだから、長く一緒にいたら情に流されて相手のいいように言いくるめられるに決まってる。どうせあいつも姉ちゃんのことなんて好きじゃないんだから、さっさと嫌われて愛想つかされろよ』
電話の向こうから言われた隼人の言葉が、胸に深く突き刺さった。
そうか、どうせ和樹さんも私のことなんか好きじゃないんだ。
最初から愛のない契約結婚だってわかっていたはずなのに、改めて言われるとなぜか胸がずきりと痛んだ。
「うん。嫌われるように、ちゃんと頑張る」
私がそう言うと、隼人は安心したように息を吐き出した。