俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
「ちょ! 助けて姉ちゃん、誘拐される!」
もがく隼人くんに鈴花は「美蘭にしっかり日本を案内してあげるのよ」と笑顔で手を振った。
「じゃあ、邪魔者は消えるから」そう言った美蘭は、にやりと笑って客室を出ていく。
隼人くんと美蘭の賑やかな声が遠ざかっていくのを聞きながら、鈴花とふたりで噴き出した。
その様子を客室の入り口で眺めていた穂積が、「一件落着ですね」と微笑む。
「穂積さんも、色々ありがとうございました」
鈴花が頭を下げると、穂積は満足そうな笑みを浮かべた。
「では、自宅までお送りします」
その言葉に、うなずいて鈴花のことを見る。
はじまりはとても自分勝手で、愛情なんて微塵もなかった。
お互いに最悪の第一印象だった出会いから、一緒に過ごすうちに自然に惹かれ合い、気が付けばこんなに大切な存在になっていた。
差し出した手に、鈴花の手が重なる。指先から伝わる体温に、愛おしさがこみあげる。
それだけで、幸せな気持ちで胸が満たされた。