俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
鈴花の両親に挨拶をしてから、旅館の玄関から外へ出る。
あたりはもうすっかり暗くなっていた。
車に乗り込む前に、なにげなく旅館を振り向いて見上げると、堂々とした唐破風の屋根とその横にそびえる立派な枝ぶりの黒松が見えた。
その瞬間、なにかがものすごい勢いで胸にせまり、言葉につまる。
足を止めた俺に、鈴花が不思議そうに首をかしげた。
「和樹さん、どうかしました?」
その問いかけに「なんでもない」と微笑みながらかぶりを振る。
繋いでいた手にぎゅっと力をこめて、体をかがめて鈴花の耳元に口をよせた。
「鈴花、愛してるよ」
そう言うと、鈴花は驚いたように頬を赤く染めた。
「きゅ、急にどうしたんですか?」
愛の言葉に動揺する鈴花が可愛くて思わず笑みを深くする。
「ただ、伝えたくなっただけだ」
そう言って前を向くと、鈴花もつないだ手に力をこめた。
「か、和樹さん。私も和樹さんのことを、愛してますから」
小さな声でそう言ってうつむいた彼女が可愛くて、抱きしめずにはいられなくなる。