俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
「……恋もしたことがないのに、こんな政略結婚を受けるなんてどうして」
この結婚はこちらが強引に進めたとはいえ、本当にイヤなら資金援助を断ればいい話だったのに。
俺が疑問を口にすると、隼人くんはこちらを睨んだ。
「自分の将来を犠牲にしてでも、実家の旅館を守りたいからに決まってるだろ」
そう言った隼人くんは悔しげに唇を噛む。
「そのために、恋をしたこともないのに政略結婚を?」
理解できないと眉をひそめると、彼は自分の顔を指さした。
「俺と姉ちゃん、似てないだろ」
そう言われ、うなずく。
「姉ちゃん、養子だから。家族の中でひとりだけ、血がつながってないんだ」
「養子……?」
「本当の両親は姉ちゃんが小さいときに事故で亡くなってひとりきりになって、五歳でうちにひきとられてきたんだって。俺はまだ小さかったからそのときのことを覚えてないけど」
隼人くんがそう言うと、だまって話を聞いていた鈴花は悲し気に目を伏せた。
五歳という幼さで家族を失った彼女の気持ちを想像して息をのむ。