アンドロイドに眼鏡は必要か?
ばくばくと早い心臓の鼓動が落ち着かない。

ハーキースはなんでもないかのように研究を再開している。

淡々と研究を続けるハーキースの背中に……はぁっ。

カスミは小さくため息をついた。

意識し始めたのかいつからかなんて覚えていない。
気付いたときには好きになっていた。

きっと……いままで、こんな対等な関係はなかったから。


カスミの両親はカスミの頭脳にしか興味がなかった。

さらには周りの人間はカスミがなにを話しているのかわからないと相手にしない。

いつも強がって明るく振る舞っていたものの、孤独だった。

ヴァレット博士の元を訪れたのも、もしかしたら似たような境遇だった博士なら、自分の気持ちがわかるのでは、そんな期待があったのもある。

結局いたのはヴァレット博士ではなく、博士の子孫と思われるハーキースだったが。
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