アンドロイドに眼鏡は必要か?
しかしハーキースはカスミを無視したり、話がわからないと邪険にしたりすることはない。

それどころか、話を聞いて、答えてくれる。

こんな関係は初めてで、カスミがハーキースに惹かれても、無理のないことだったのかもしれない。

「カスミ、そのビーカー、もらえますか?」

「うん」

目の前にあったビーカーを掴んでハーキースに渡すと、手がふれた。
思わず、反射的に引っ込めた手からビーカーは離れ、ガシャン、床の上で派手な音を立てて割れる。

「なにやってるんですか」

「あ、ごめん。
……っ」

慌ててしゃがみ、割れた破片を拾おうと手を伸ばすと、指先に鋭い痛みが走る。

「大丈夫ですか?」
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