アンドロイドに眼鏡は必要か?
視線をあわせるようにハーキースもしゃがみ込み、カスミの手を取った。

指先には血がぷっくりと膨らんでいる。

ハーキースは迷わずにその指先を……口に含んだ。

「……!」

熱が身体中を駆け回り、心臓が勝手に全速力で駆けだした。
まるで、全身が蒸気機関にでもなったかのようで、あたまからはしゅーしゅーと湯気が立ち上りそうだ。

「止まったかな」

しばらくしてハーキースは自分の口からカスミの指を解放した。
傷の具合を確かめながら、カスミの様子がおかしいことに気付いたようで、心配そうに眼鏡の下の眉根を寄せる。

「カスミ?
大丈夫ですか?」

「えっ?
あ、うん。
ダイジョウ……ブ。
カタヅケルネ」
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