それでも君を
「…なりたかったけど、残念ながらなってない」 



「?…そう」



不思議そうな声で真ちゃんが首を傾げる。



あぁ、どうしよう?



どうしたら逃れられるだろう?



「そんなに警戒しなくてもいいよ。
そうだな…とりあえず、熱計ってみよっか」



私が醸し出しているピリッとした空気は、どなた様にも分かりやすく感じ取れるらしい。



苦笑いで真ちゃんが体温計を差し出してくる。



熱…?



計ります!計らせて頂きます!



これでほんの少しだけだが、時間稼ぎができる。



きっと意味のない時間稼ぎだろう。



やるべきだと真ちゃんが判断しているなら、どんなに拒否してもやられることになるからだ。



それでも、少しでも先延ばしにしたいと思うのが、私という人間なのである。



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