それでも君を
先生の質問には答えず、とりあえずこちらが伝えたいことを伝える。



「もう、、こんな日差しの中、歩いてはいけません。しかも退院したばかりなんですよ?」




「…そうなんだけど、さ」




「ビックリしましたよ。なんだか立川さんにそっくりな人が歩いてるなーと思ってみていたら、急にしゃがみこんで動かなくなったので」



なるほど。確かにここからなら、外の風景が見えただろう。



私だと思って走ってきてくれたのかと思うと、少し嬉しくなる。



「なんで笑ってるんですか?自分の状況わかってます?」



おっと、うっかり嬉しさが顔に出てしまっていたらしい。



一旦緩んだ顔を整えて、次の言葉を発する。



「ごめんなさい。体力落ちてるの分かってるつもりだったけど、予想以上に動けなかったの」




私の発言を聞いて、まだまだ言い足りなさそうだった先生が次の言葉をぐっと飲み込んだように感じた。




「入院、当初の予定より大分延びちゃいましたからね」


< 82 / 686 >

この作品をシェア

pagetop