バンパイア・ トラブル
おれがデスクについて間もなく途中入社の女性がやってきた。



「失礼します。千波 礼子(せんば れいこ)です。今日からよろしくお願いいたします」



長い黒髪を一本にひとつにまとめた女性が頭を下げる。
動きやすい服装をにするように伝えておいたからか、パンツにブラウスという軽装だ。

足元はスニーカー。




「こちらこそよろしく、千波さん。今、忙しい時期だから助かるよ」



おれか云うと千波礼子は照れたような笑顔を返してくれた。

地味な外見だが目鼻立ちが整っていて肌が綺麗だ。

スラッと細い身体つきで身長は一六五センチくらいかな。


年齢は二十五歳。
おれより二歳、年下だ。

黒い長い髪は背中まである。
少し硬質な髪は艶々していてすごく綺麗だ。

印象的なのは唇だ。
髪が黒くて肌が白いのに唇だけが紅い。

妖艶な雰囲気のすごい美人だ。
履歴書の写真より断然かわいいし綺麗だ。

当然おれは、この千波礼子が気になった。



「今日は早速、学校に教科書と辞書を販売に行くからね。大変だと思うけど、がんばって」

「はい。がんばります」



礼子は頷いた。
上品な雰囲気の物静かな女性だった。


おれは心の中で首を傾げる。


千波礼子とは初対面のはずなのに、会った事があるような気がしたからだ。

こんな美人を忘れるはずはないんだがなあ。




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