夢物語
 どういうわけかこの夜は、西本くんの彼女の話題ばかりだった。


 最近の飲み会でも、彼女の話すら出てくることがなかったのに、なぜか今日に限っては頻度が高い。


 なぜか周りが質問攻めにする。


 まるで私に対して、くぎを刺しているかの如く。


 結婚を考えているわけではないのだけど、綺麗な八歳年下の彼女。


 まだ若くて魅力的な……。


 「どうせ連れて歩くのなら、見栄えがいいほうがいい」


 この前の飲み会での発言を思い出す。


 そう、そこから「成功した男が手にしたがる、トロフィーワイフ」の話題になって。


 でも帰り道、私がそう決めつけたことに対し、悲しいなどと口走った挙句に……キス。


 あれは何だったんだろう。


 もう、訳が分かんない。


 単なる気まぐれと解っていても……、彼女が羨ましい?


 私……。
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