夢物語
 ライバルというか、恋敵といった存在は。


 何となく自分と同年代のイメージだったけど、今回はなんと一回り以上年上!?


 姉から見せてもらった画像から推測して、優と同世代くらいに見えたけど、優よりさらに八歳も年上だったとは予想外。


 「確かに実年齢よりは若く見えるけど、志穂に比べたらおばさんにも程がある。優くんもいったいどういうつもりなんだろう?」


 姉が私の代弁をしてくれた。


 「まだ疑いの域を出ないけど、このオーロラビジョンに映った雰囲気からしても、絶対に普通じゃないよ。何とかしないと絶対やばいよ」


 ……ほんの少し前まで、こんな展開全く予想していなかった。


 束縛したくないから、縛られたくないから、お互いにやりたいことを優先させる。


 詮索されたくないから、干渉もしない。


 二人会うとき以外は、それぞれ好き勝手に……。


 ……何もかも自由にさせていたその日々の中で、優の心にいつしかあの女の割合が大部分を占めるようになっていったのだろうか。


 分からない、気配すら感じなかった。


 「決定的現場を見たわけじゃないし、まずは様子見するしかないのかな」


 「……探ってみる」


 「どうやって?」


 「……」


 スマホを握りしめる。


 言われてみれば今この時ですら、優がどこで何をしているのかすら知らない。
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