夢物語
 それまでも一緒に試合に参加したり、飲み会仲間ではあったようだけど、あくまでも大勢の中の一人。


 他のメンバーとも親しさは同じくらい。


 ところが悩み相談でファミレスに二人きりで出かけた夜をきっかけに……。


 まさか……。


 ファミレスに行った後、二人でどこかに消えたんじゃないかと疑った。


 でもメールを時系列順に確かめると、夜11時頃に他でもない私が「今どこにいるの」と送ったメールがあった。


 それに対して優は、「サークルでトラブルがあって、話し合いのため集まったんだけど、無事解決したから今帰るところ」と返信をくれていた。


 半年くらい前にそんなやり取りがあったことを、何となく思い出した。


 八方美人というか、他人相手にお節介を焼いている暇があるのなら、彼女である私をもっと構ってよっていうのが本音だったことも。


 「……これ、どういうこと?」


 許せないやり取りを見つけてしまった。


 忘れもしない、九月の胆振東部地震。


 地震発生が夜中の三時過ぎで、その時夜遊びしていた私は女友達と飲んでいて。


 震度四以上の大揺れに驚いてパニックになってる友達を落ち着かせるのに必死で、比較的冷静だった自分のことは後回し。


 落ち着いた頃に優に連絡を入れたのだけど、その少し前に優から「大丈夫だった?」とメールが来ていた。


 ところが優は、私より先に高橋冴香にメールを送っている!


 これって……どう考えても優先順位が私より上ってこと!?
< 227 / 302 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop