夢物語
 男性とこういう関係になったのは初めてなのに、何時間もそばにいてもなお、いつまでも離れられなかった。


 西本さんのそばにいるのは心地よくて、肌と肌が重なる安心感はこの上なかった。


 「……そろそろ帰らなくちゃ」


 いつまでもこうしてはいられない。


 いずれ優くんは戻って来る。


 待ち合わせ時間になってもいつまでも現れず、連絡のつかない私を待つことをやがてあきらめ、その後の予定を一人で続行するか、それとも今日はキャンセルして一旦帰宅するか……。


 もうすぐ帰って来る可能性がある。


 この場で鉢合わせることだけは避けたい。


 「送っていくよ」


 まだ余韻に浸って横たわっている私を残し、西本さんが先にベッドを出た。


 着替えを済ませて、車をガレージから出しに行く。


 やがて私も起き上がり、服を着る。


 ブラウスのボタンを一つ一つ元に戻していくにつれて、我に返ってきた。


 もう優くんには会えない……。
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