夢物語
 「一人で抱え込まないで、私に話すことで気持ちが楽になるのでしたら、何でも教えてください。……もう他人じゃないんですから」


 そう告げてそっと寄り添い、手を重ねた。


 「真由にとってはあまり、気分のいい話じゃないと思うんだけど……」


 私は息を飲む。


 優くんのことで私が気分を害するような話とは……?


 「実は優が最近、僕の留守中に女の子を家に連れて来るんだ」


 「!」


 私は動揺を隠した。


 優くんに彼女が……。


 しかも西本さんの留守中に家に連れて来るということは、もう「そういう関係」なんだろう。


 中学生の頃、私が勉強を教えていた頃は、クラスの子など女の子には全く興味がない様子で、彼女など作る気も全然なかったようだけど。


 やはり高校生になると、世界は広がるんだ……。


 「よ、よかったじゃないですか。優くんにも彼女ができたんですね。留守中に、ってのはまだ高校生だから、あまり好ましいことじゃないかもしれませんが」


 必死で強がって見せた。


 「確かに、一人だったらまだ許容範囲だけど、」


 「え?」


 「向こうは僕の留守中を狙って連れてきているようだけど、何回か鉢合わせたんだ。するとそのたびに違う子を連れてきてるんだ。二股三股かけているか、きちんと付き合ってすらいないんだと思う」


 「……」


 私は何て答えていいか分からず、無言になってしまった。
< 286 / 302 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop