夢物語

 優くんには今度こそ幸せになってほしい。


 でもあの女の子とならいずれまた……ってことになりそう。


 私には何も言う資格はないけれど。


 その前に私も、西本さんとの今後のことを考えなければいけない。


 などなど考えながら、粉雪の舞う街を一人歩いていた。


 休みの日の午後、ふと空を見上げるとすでに薄暗くなり始めている。


 冬の日の入りは早い。


 そして寒い。


 春はまだまだ先だ。


 春がそんなに遠い存在ならば、いっそこの白い雪に溶けて全て消えてしまうことができればいいのに……、などと投げやりな気持ちになったりもする。


 最近ラジオからよく流れて来るヒット曲の歌詞のように、誰かを傷つけたり失って初めて、自分が犯した罪を思い知らされる。


 そう……、戻れない。


 たとえ過去がどんなに輝いて見えたとしても。


 未来(明日)へと歩き出さなければならない。


 この先に降り積もる雪を越えて……。


 街に流れるヒット曲に耳を傾けながら、今の自分を歌っているようだと思いつつ歩き続けた。
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