夢物語
 「!」


 最後の曲がり角を曲がった時、家の前に優くんの車が停まっているのに気が付いた。


 来てるんだ……。


 何か西本さんに用があるのだろうか。


 優くんに対する気まずさは、あれから何年も経った今となっても変わることはない。


 私は努めて自然体で接しようと思っても、向こうがいつまでも私を避け続けているため取り付く島もない。


 その度に私が傷付けた優くんの心の傷の深さを思い知らされ、罪の意識が強まるだけで……。


 それを何年も何年も繰り返している。


 いつか乗り越えなければならないとは思うのだけど、話し合いのきっかけすらつかめない。


 西本さんだって永遠に生きているわけでもないのだから、手遅れにならないうちにもう一度、家族としての絆を取り戻してあげたい。


 仕事場では共同経営者として時間を共にはしているけれど、あくまで仕事上の付き合いをこなしているだけ。


 終業時間を迎えれば他人行儀な振る舞いに徹してしまう。


 家族、親子としての交流は無に等しい。


 たまに法事など、やむを得ない事情がある時だけ、家族を演じているに過ぎない。


 このままではよくないと思っていても、私にはどうすることもできないまま……。
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