夢物語
 保険に加入手続きを済ませ、契約書を手にTは奥さんの元を訪れた。


 実家に身を寄せている奥さんは、つい別居中の夫に関する愚痴をTにこぼす。


 大事な契約者様に対し、ご機嫌取りの必要に迫られていたTは話を合わせるのみならず、つい余計な話までしてしまったようだ。


 男がサークル内で、私を寵愛しているだとかそんな話を。


 Tは競技を始めたのは私と同じくらいで、初心者仲間だったのだけど、ここに来て私が男に特別待遇を受け、それに伴い上達が早まったことに対し、嫉妬を感じていたらしい。


 そんな背景もあり、日頃の鬱憤晴らしみたいなもので余計な発言。


 話を大きくして伝え、奥さんの怒りに火をつけるには十分だった。


 Tが帰宅した直後、奥さんは怒りの電話を男に。


 ……といった流れだった。
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