夢物語
 「Tが話を大きくしたってことですか!? 許せない……」


 最初、奥さんは夫が不倫しているなんて夢にも思っていなかったようだ。


 そこにTがサークル内での私の話を、悪意を持っているとしか思えない大袈裟な伝え方をしたばっかりに、奥さんは不倫を信じ込んで怒りの電話をしてきたとのこと。


 ただ……。


 「奥さんは、本当に今さっき聞いたばかりなのですか?」


 それが心配だった。


 実はもっと前から、Tによって情報をもたらされていたとしたら?


 情報をひた隠しにして、証拠固めに時間を要していただけだとしたら!?


 そしてついに決定的証拠を掴んで、今こうして宣戦布告をしてきたとは考えられないだろうか?


 ……興信所?


 Tの余計な密告は腹立たしいけれど、私たちの不倫関係は事実。


 奥さんが真相をどこまで知っているのか、気になって仕方がなかった。
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