夢物語
 ようやく手に入れた今のポジションを、欲で失ってしまうほど愚かなことはない……。


 「ところで、遠征まであと一週間だね」


 また昔のことをあれこれ振り返っていたけれど、塩田さんのその言葉で現実に引き戻された。


 「そうそう、十人編成のチーム対抗戦ですから、頑張らなければ」


 毎年この時期、十人のメンバーで構成される団体戦が地方都市で開催され、有志で遠征することになっている。


 以前は部長である升田夫妻が音頭を取っていたものの、最近はご隠居さん状態にあるため、私が取りまとめを担当するようになっていた。


 地方都市まで車で一時間以上かかることもあり、最近はメンバー集めも一苦労。


 近年は大会開催地を本拠地とする地方チームと協力し、チーム編成を行うようになっていた。


 こちらから出向くのは、私と小倉さん、塩田さん、男子は賢人に西本くん。


 残り五人は地方チームから参戦してもらう予定だ。


 「車は賢人、お願いね」


 小倉さんに賢人は逆らえない。


 実家にあるワンボックスカーを提供し、運転手も担当することになっていた。
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