夢物語
 「西本くん」


 練習帰りの駐車場で呼び止めると、西本くんは顔を上げた。


 この日の練習は、「容疑者」である賢人が珍しく欠席だったこともあり、練習中に体育館の中で尋ねればよかったのだけど、こういう時に限って参加者がぴったりで、休む暇もない。


 それに、周りの人の耳に入り、話が大きくなってもまずいと判断し、練習後まで待つことにした。


 「はい?」


 後部座席に荷物を載せている最中だった西本くんは、振り向いて私を見る。


 午後九時半、空はすでに真っ暗だけど、駐車場の脇にある街灯が辺りを照らしているため、ここはそんなに暗くはない。


 「この前の試合のことで……、ちょっと確認したいことがあるんだけど」


 「ああ、改めましてお疲れさまでした。来年は優勝目指して頑張りましょうね」


 「うん……。来年も参加できたら、ね……」


 さっきの田中さんからのお怒りのメール。


 あの調子だともう二度と、ご一緒できないかもしれない。


 田中さんたちの協力を得られなければ、来年以降私たちのチームは参戦不可能となる……。


 「……どうかしましたか? 今日は練習中も、高橋さん元気なかったような気がします」


 私のテンションの低さを、西本くんは察したようだ。
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