鬼畜な兄と従順な妹
 うそだろ!?

 俺は素っ裸の幸子が、ドアの前でもじもじしながら立つ光景を頭に描き、慌ててドアを開けた。すると、素っ裸の幸子が……なわけもなく、普通に服を着た幸子がいて、俺を押し退けるように中へ入り、バタンと自分でドアを閉めた。

「お、おまえなあ……」

「えへへ。やっぱり引っ掛かったね。期待した?」

「そんなもん、するかよ」

 と返したものの、実はちょっと、いやかなり、期待してしまった。

 幸子は、スタスタとベッドの方に歩いて行ったが、ショートパンツから伸びる生脚がいやらしく、わざとじゃないかと思うほど、左右に動くケツが艶かしい。

 気付けば、幸子は裸ではないものの、それに近い格好をしている。普通に服を着てると思ったのは間違いだった。

 幸子は、俺のベッドまで行くと、そこにチョコンと腰掛け、俺に笑顔を向けた。そこで俺と話をする気らしい。

 しかしそこは、俺としては非常に都合が悪く、幸子にしてみれば、最も危険な場所なのだが、本人は分かっているのだろうか……

 "こっちへ来い"と、俺は言おうと思ったが、幸子に笑顔で"おいでおいで"なんてされては、よし、行ってやろうじゃねえか、なんて変な闘志を燃やし、俺は幸子の隣に腰掛けたのだった。

「話って何だよ? ノロケ話なら聞きたくないぞ」

 俺は、最初に釘を刺しとく意味でそう言ったのだが、

「えー、聞いてほしいなあ」

 と、幸子は甘えたような声で言った。いや、言いやがった。
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