【短】agreement


「ねぇ、あの人…凄い格好良くない?」

「ね、もう一人も滅茶苦茶イケメンなんだけど!」


街に出ると否応なしにでも聞こえてくる、私の両側にいる二人への賛美。

「でも、間にいる子はかなり平凡だよねー…」


私たちに不躾なくらい投げ付けられる視線は、いつものことだけれど、良い気分ではない。


私がムッとしながら歩いていると、おもむろに将が私を近くの公園に誘って、ベンチに座ろうと提案してきた。

その間、凌は気分転換にと飲み物を買いに行ってくれる。


「ののかは、世界一可愛いから…そんな顔しないで?」


どこぞの王子様も顔負けの、片膝立ちできゅーっと手を握ってそう言ってくれる。


「そーだそーだ!ののはその辺の子より可愛いからなっ」


温かいココアを買って戻って来た凌も、ぽんぽんと優しく頭を撫でてそう言ってくれた。


それで、ゲンキンにも私の気持ちは浮上する。





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