BLACK TRAP ~あの月に誓った日~




「七瀬っ。ちょうど良かった、これサキトに渡しておいて」


休み時間、廊下ですれ違った美愛に小さな何かを手渡される。


「何これ」

「ソレないとサキト死ぬからさ」

「いや、死にはしないでしょ」

「じゃ、頼んだー」


強引に手のひらに乗せられたのは、プラスチックケースに入ったミントのタブレット。

仕方なく、美愛の代理で2年の教室へ向かう。


咲都の教室は、当然藤川と同じだから。
顔を合わせる確率がかなり高い。

あまり会いたくはないけれど。


そう思って、そっと教室を覗いたら──


「ねぇ、こーせーって、どういう漢字書くの?」

「皇帝の皇に、世界の世だよ」

「あははっ、皇帝って藤川君っぽい」


窓際で同級生の女の子と寄り添って話す藤川の姿が目に入り、思いきり眉をしかめる。


すると向こうも私に気づき、一瞬目線をよこすものの、フイとすぐに目をそらしてきた。

そしてまた、隣の女の子と仲良く会話を続ける。
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