BLACK TRAP ~あの月に誓った日~
*
「七瀬っ。ちょうど良かった、これサキトに渡しておいて」
休み時間、廊下ですれ違った美愛に小さな何かを手渡される。
「何これ」
「ソレないとサキト死ぬからさ」
「いや、死にはしないでしょ」
「じゃ、頼んだー」
強引に手のひらに乗せられたのは、プラスチックケースに入ったミントのタブレット。
仕方なく、美愛の代理で2年の教室へ向かう。
咲都の教室は、当然藤川と同じだから。
顔を合わせる確率がかなり高い。
あまり会いたくはないけれど。
そう思って、そっと教室を覗いたら──
「ねぇ、こーせーって、どういう漢字書くの?」
「皇帝の皇に、世界の世だよ」
「あははっ、皇帝って藤川君っぽい」
窓際で同級生の女の子と寄り添って話す藤川の姿が目に入り、思いきり眉をしかめる。
すると向こうも私に気づき、一瞬目線をよこすものの、フイとすぐに目をそらしてきた。
そしてまた、隣の女の子と仲良く会話を続ける。