BLACK TRAP ~あの月に誓った日~
「手伝いがあるみたいで、呼ばれてるの。だからまた今度一緒に帰ろう?」
断ったことに罪悪感が芽生え、誘われたのは嫌じゃないという意思表示をする。
「うん。わかったよ。また今度誘うね」
春の野原みたいな柔らかな笑顔に、私もつられて微笑み返す。
全然、年上にも見えないし。異性にも思えない。
踵を返そうとした瞬間、ぐいっと腕をつかまれる。
「七瀬。遅い」
不機嫌なオーラを出していたのは藤川で。
セイちゃんを冷たい目で睨みつけたあと、私の手首を引き廊下の端の生徒会室まで引きずっていく。
「ちょっと、無理やり引っ張らないで」
「あいつに声をかけられてるお前が悪い」
理不尽なことを言い放つ藤川は、慣れた手つきで生徒会室の鍵を開け、私を先に部屋に入れる。
ドアが閉まると同時に、施錠される音が響いた。
一瞬ドキッとするものの深くは考えずに、室内を見回す。
それほど広くはない部屋。
会議をするためのテーブルや椅子が置かれ、奥にはファイル等が並べられた棚があった。
藤川は窓際に置かれた白いソファへ腰を下ろしたので、手首を掴まれたままの私も必然的に座ることになる。