BLACK TRAP ~あの月に誓った日~

「手伝いがあるみたいで、呼ばれてるの。だからまた今度一緒に帰ろう?」


断ったことに罪悪感が芽生え、誘われたのは嫌じゃないという意思表示をする。


「うん。わかったよ。また今度誘うね」


春の野原みたいな柔らかな笑顔に、私もつられて微笑み返す。

全然、年上にも見えないし。異性にも思えない。


踵を返そうとした瞬間、ぐいっと腕をつかまれる。


「七瀬。遅い」


不機嫌なオーラを出していたのは藤川で。

セイちゃんを冷たい目で睨みつけたあと、私の手首を引き廊下の端の生徒会室まで引きずっていく。


「ちょっと、無理やり引っ張らないで」

「あいつに声をかけられてるお前が悪い」


理不尽なことを言い放つ藤川は、慣れた手つきで生徒会室の鍵を開け、私を先に部屋に入れる。


ドアが閉まると同時に、施錠される音が響いた。

一瞬ドキッとするものの深くは考えずに、室内を見回す。


それほど広くはない部屋。
会議をするためのテーブルや椅子が置かれ、奥にはファイル等が並べられた棚があった。


藤川は窓際に置かれた白いソファへ腰を下ろしたので、手首を掴まれたままの私も必然的に座ることになる。
< 57 / 147 >

この作品をシェア

pagetop