BLACK TRAP ~あの月に誓った日~
二人掛けのソファだから、藤川との距離がかなり近い。
彼が少し動くだけで、ベリー系の甘くて大人っぽい香りが降りかかり、平静でいられなくなる。
「七瀬と咲都って。付き合ったこととかあんの?」
「は? ないよ、あるわけない」
咲都は幼なじみで兄みたいなものだし、向こうも妹ぐらいにしか思っていないはずだ。
疑わしげに見つめてくる藤川から目をそらし、少しでも間隔をあけようとソファの端に座り直す。
掴まれたままの手首が熱くて、脈が速いことに気づかれてしまいそう。
「俺さー……七瀬が他の男と仲良くしてるの見ると、イラつくんだよな。……何でだと思う?」
「し、知らないよ、そんなの」
自分は平気で女子と楽しそうに喋っていて、私を無視したくせに。
私が誰と仲良くしてようが、藤川には関係ない。放って置いて欲しい。
「正解するまで、俺の言うことに従ってもらうかなー?」
「っ……変なこと言うのやめて」
これ以上、藤川のことを意識したくないのに。
知らないうちに彼のペースに巻き込まれ、私の頭の中は彼でいっぱいになっていく。