BLACK TRAP ~あの月に誓った日~

頬が火照ってくるのがわかり、慌ててうつむく。


「七瀬? どうかした?」

「……何でもない」


整った顔をそっと近づけてくる藤川。

欠点などないのではと思えるほど、バランスの良い目鼻立ち。

ふわりとベリーの香りが微かに漂ってきて、さらに顔が熱くなる。


「顔赤いけど。なんで? ……俺と二人きりだから?」


あっさりと言い当てられ、深く息を吸い、目をそらす。


「……違うから。もっと離れてよ」


冷たく拒絶したつもりが、彼には効かなかったようで。私の首の後ろを押さえ、自分の方へと向ける。

至近距離で視線が重なり、緊張のあまり目が潤み出す。


(こうやって、私だけを見てくれればいいのに)


ふと浮かんだ想いに自分でも驚く。


藤川には、彼女に近い存在の人がたくさんいるのは理解してる。

それでも……彼の特別になりたいと願ってしまったなんて。

自分が自分じゃないみたいだ。



「誰にでも、触らせるんだな」

「…………」


咲都のことを言っているのだろう、私の頬に手のひらを滑らせ、親指で唇をなぞっていく。
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