BLACK TRAP ~あの月に誓った日~
……知らない人。
伯王の制服を着ているのに全く見たこともない、初めて会う男だ。
黒髪に灰色のハイライトが入っていて、わりと綺麗な顔立ち。
鍵は内側からかけたはずなのに。
どうして入ってこれたのか。
その人は私へ近づいてきたあと、ちらりと窓の外へ視線を落とす。
そして唇の端を上げ、柔らかく笑みを作った。
「少し、時間もらえますか。七瀬さん。会ってもらいたい人がいる」
手首を思いのほか強い力で引かれ、強制的に連れて行かれそうになり、危機感を覚える。
「ごめんなさい。私は無理です。ここで待てと言われているので」
男の大きな目が冷たく光った。
手首の力は弱まらず、逃げようにも逃げられない状況。
「いいから来い。手荒な真似はしたくないんだよ」
いきなり口調を変えてきた男が、私を生徒会室から引きずり出す。