BLACK TRAP ~あの月に誓った日~
「さっき、あいつに告られてなかったか?」
綺麗な色をした唇が、不快げに歪められている。
「え? あれって、告白だった?」
わざと、とぼけるように聞き返してみる。
「告白なんて、させる隙を与えるな」
怒られているというのに、何だか嬉しい。
もしかしたら嫉妬をしてくれたのかもと思うと。
「……七瀬。あいつと付き合うの?」
「えっ?」
急に藤川の周りの空気が変わり。
どこか不安げに揺れる瞳で、私のことを見つめてくる。
そんなこと、考えてもみなかった。
セイちゃんと私が付き合うとか、想像つかない。
彼の方が年上だけど、弟みたいな可愛らしい雰囲気があるから。
「あいつは、やめておいた方がいい」
「何、勝手に。私が誰を好きになろうが自由でしょ」
「七瀬があいつと関わってんの、俺が嫌なんだ」
「何で……?」
藤川は質問には答えず、背中に流れる私の髪を、自分の指に絡め弄んでくる。