BLACK TRAP ~あの月に誓った日~
「俺も昔、七瀬のことが好きで。今はもっと好きになりそう、って言ったらどうする?」
「…………は?」
唖然として声が掠れる。
「からかわないでよ。だって藤川先輩には、彼女候補がたくさんいて、遊び放題だっていう噂があるの知ってるんだからね」
「それはまあ、七瀬のいない、1年の頃はそうだったかもしれないけど」
「うわ、サイテー」
軽蔑の眼差しを彼に投げ、距離を置くためソファの端に寄る。
「でも今は違うし」
全然、そうとは思えない。
この前だって教室で楽しそうに女の子と喋っているのを見たし、バレンタインの日だって他校の子達にチョコを渡されかけていた。
……確かに、藤川が受け取ったのは、私からのプレゼントだけに見えたけれど。
藤川は指に絡めていた私の髪を自分の口元に持っていき、そっと……唇を寄せた。
「俺は、七瀬のことが大事だよ」
……それって、どういう意味?
尋ねる勇気はなく、ただ彼の遊ぶ指先と唇を眺める。