先輩に一目惚れしたんで、サイエンス部に入部します!
俺は、「ごめんなさい!」と先輩に頭を下げた。

「その…俺、理科すごく苦手なんです!!」

「ええ〜!!」

星野先輩と岩井先輩が大声で驚き、友永は勝ち誇った顔で俺を見る。河合先輩は顔色一つ変えずに、ひたすら実験を続けている。

俺は理科が大の苦手。理科って難しい単語が多くて苦手なんだよ〜。

「星野先輩、こんな奴がいると話になりませんよ?」

意地悪な顔で、友永が俺を見る。俺を追い出すつもりか?

「だ、大丈夫!今から勉強しよう!私が教えるから!」

星野先輩は首を振り、俺に笑いかける。ああ、みなさん!ここに聖母マリア様がいますよ〜!!

「まずは、中学校一年の生物から勉強しよっか?」

岩井先輩が、植物の図鑑を取り出す。そっか、一年生の初めに植物のことについて勉強したっけ。

「私、生物の授業が大好きなんだ〜。将来の夢は獣医!動物と植物が好きなの」

星野先輩はそう言って、俺の隣に座る。ああ、幸せ絶頂!!

友永は岩井先輩と何か作業を始めた。その目は悔しそうに俺を睨んでいる。へへん、ざあまみろ。

「えっと…光合成はわかる?」

星野先輩、顔が近い!長いまつげ、口もとにできたホクロ、エロいっす!

「そのぐらいなら知ってますよ〜。太陽の光を浴びて、植物がデンプンや酸素を作り出すはたらきです」

ヘラヘラしながら俺は答える。理科の先生が星野先輩なら、理科はきっと得意教科になるだろう。

「うん、正解!植物の細胞の中にある葉緑体で光合成は行われるんだよ。植物の葉っぱが緑に見えるのは、この葉緑体があるから。じゃあ、光合成の原料なるものは何?」
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