アブナイ王子様たち
「いいのか、薫……」


「なにが?」


「お手伝いさんの仕事をやってもいいのか?」


薫くんは悟さんの言葉を聞いて、深々とため息をついた。


そして、めんどくさそうに頭をかいた。


「……はぁ、いいに決まってんじゃん。


翔兄がその女を連れていきたいって言ってるし」


その女って。


それ、絶対に私のことだよね。


翔さんだけじゃなくて、薫くんまで私のことを名前で呼んでくれないなんて……。


でも、それを言うと薫くんの機嫌が悪くなりそうなので、言わないでおく。


名前で呼んでくれないことよりも、気になることがある。


薫くんが、少し不満そうに翔さんを見つめていることだ。
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