アブナイ王子様たち
ちょっと不安なんだけど。


本当に大丈夫かな。


心の中でそうつぶやいたあと、翔さんが私の肩を掴む力を強くした。


「なぁ、兄貴。


薫がこいつの仕事やるって言ってんだから、こいつ連れてってもいいだろ」


そう言う翔さんの顔は嬉しそうだ。


いっぽうの薫くんは少し悔しそうな顔。


ふたりの表情が対照的に見える。


なにも言わない私をスルーして、悟さんが深いため息をつく。


「……はぁ、わかったよ。


学園祭、愛海ちゃんを連れてってもいいよ」


えっ、いいの?


悟さんはてっきり『連れてってちゃダメだ』って言うかと思ったのに。


呆然とする私を見ることなく、白い歯を見せてニコッと微笑む翔さん。
< 129 / 642 >

この作品をシェア

pagetop