アブナイ王子様たち
匠くんは、興味がなさそうにあたりを見ている。


うーん。


匠くん、にぎやかなところはあんまり好きじゃないのかな。


でも好きじゃないなら、ため息ついたり、顔をしかめたり、『帰りたい』と言ったりするはず。


匠くんは、そんなことをしていない。


じゃあ、にぎやかなところは嫌じゃないのかな。


と、そのとき。


ゾクッ‼︎


背中に鋭い視線が刺さった。


虫が体をはうような、嫌な感触がする。


もしかして……ストーカーの視線……?


ストーカーが、どこかから私を見てる……?


自分の顔が青ざめていくのを感じたあと、誠さんが私の顔を覗き込んだ。


「……ん?


愛海ちゃん、どうしたの?」


誠さん、私の顔色の変化に気づいてないの?
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